神様からのお年玉

司祭 ヨハネ 芳我秀一

 新年あけまして
       おめでとうございます

 日本人にとって正月は一年の大きな節目です。一般論ですが、日本人は全てのものには魂が宿っていると信じていると云われます。そして、この「魂」という生命エネルギ−は、時が経つと衰えてくると考えられています。ですから日本人は一年の節目、節目に年中行事の祭りを行って、神様からいただく力を更新し、人間の魂も新しくしてきたのです。その中で古来からの祭りの色彩を最もよく残し、全ての魂が新しく生まれ変わる正月は一年の内で最も大きな節目であり、また重要な祭りであったと云うことです。

 〈お年玉の由来〉
  ところで、お正月と云えば「お年玉」がつきものです。子どもたちはこれを楽しみに待っていますが、お年玉とは一体何なのでしょうか。言い伝えによれば、正月になると家々には新しい魂を授けに来る神様がいます。これを「歳神(としがみ)」と言いますが、歳神とは半ば神で、半ば祖先の魂と考えられています。この歳神が人々に与えてくれる「歳神からの賜物」「歳の魂」を「年玉」と云うのです。「トシ」とは一年のことで苗作りから稲刈りまでの一周期も意味しています。お米をトシと言うこともあります。つまりトシダマは米を作るのに不可欠な霊力であって、その象徴が米であり、お餅でありました。ですからお年玉は歳神が人々に与えてくれる生命エネルギーであり、歳神からのプレゼントなのです。このように日本人は歳神をはじめ先祖の魂を中心とする様々な神様たちから力をいただいて今日まで育まれてきたと云われています。

 〈真の霊的な力〉
  一方、聖書が証する唯一の神様はこの狭い日本という社会をはるかに超えて世界中の人びとを愛しておられますが、その事実を証するために、神は御子をこの世に遣わし、さらに建てられた教会を愛されて力を与えて強くして下さっているのです。『主にあって、その偉大な力に よって、強くなりなさい。』 (エフェソの信徒への手紙第6章10節) この「主にあって、その偉大な力によって」とは、イエス様が十字架の死から復活されて以来、現在も信じる人々と共にいて下さり、私たちの肉体は滅んでもイエス・キリストが御手の中で永遠に守り導いて下さっていると言う事実が私たちを強くしてくれるのです。ですからイエス・キリストこそ神様から人類に与えられた真のお年玉であったと言うことです。

 〈神様からの伝言〉
  1月1日は、日本の暦では正月元旦ですが、教会暦では「主イエス命名の日」です。神の御子は生まれて八日目に「イエス」と名前が付けられましたが、これは、母親の胎内に宿る前に天使から示された名前でした。つまり、「イエス」という名前には神様の強い意志が込められていると言うことです。その意味は「神は救いなり」です。人はこの世に生まれ、やがて必ず一人でこの世を去っていきます。永遠に楽しく生きたいと願っても、出来ない現実に直面する時、人は生きる気力を失ってしまいます。しかし、神は生きる気力を失ってしまった人間に再び生きる力を与えるためにイエス様をこの世に遣わされたのです。「あなたは決してひとりぼっちではない、永遠に変わることなく温かく見守っておられる方がいる」これがイエス様を遣わされた神様からの伝言でありました。


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