わたしたちは大勢でも一つの体です

司祭 パウロ 上原信幸

 ポール・トルハースト執事が5月中旬まで英国で研修を受けるため、伝道区内の有志でマリナーズセンターのお手伝いをしています。
 港へ出入りしますので、あらためて神戸が国際貿易港であることと、実に多くの国との交わりの中で私たちの生活がなりたっているかを感じました。
 ウイリアムス神学館卒業式の後に、英国研修旅行の報告会が行われましたが、神学生達は様々な刺激を受けて帰って来ました。私たちも神学生の時に、お隣の韓国の神学校と教会を訪問しましたが、その時の訪問は三月一日の韓国の独立運動記念日を挟んでいましたので、対日感情の悪さを、街の至る所で痛感しました。
 その後、数年前にも教区の教役者会で韓国を訪ねました。大韓聖公会の大聖堂は、南大門や有名ホテルのあるソウルの中心にありますので、観光客である日本人に敵意をむき出しにしてくる人はいませんでした。
 それでも切手を売っていた店で、韓国の英雄「安重根(アンジュングン)」の切手があるかと尋ねると、「日本では安重根のことをどう思っているか」と質問されました。 「ほとんどの日本人は彼のことを知らないと思う」と答えると、「日本の人は本当に自分たちの歴史を知らないのですね。」と言われました。
 安重根は、当時朝鮮総督府の長であった伊藤博文を暗殺した人物です。後に日本の紙幣の顔となった伊藤博文と、韓国の切手の顔となった安重根との評価は、当然のことながら、日韓では大きく違います。
 客にそこまで言うのですから、内心はもっと強い反日感情を持っていることは推測できます。
 自分自身の教育を振り返っても、古代史・中世史は比較的ゆっくり進みましたが、近代史は高三の三学期。授業もほとんどなく、入試の試験範囲に入ることもなかったのが実状です。
 ちなみに、売店の御婦人はカトリックの信徒さんで、カラーをした私たちに親近感を持ち、本音を語ってくれたということでしょう。

 聖霊が降る

 聖霊降臨日は、教会の誕生日ともいわれる日で、その日、イスラエルのみならず、中東、アフリカ、地中海沿岸の各地から集まってきた人々が、神様のメッセージを聞き、心を一つにしたという記事が使徒言行録に記されています。
 他国といわず、国内でも様々な教派に別れ、同じクリスチャン同士が、様々なわだかまりを残しているのも実状ですが、この記念日の意味を再度思い起こしたいと思います。
 聖霊の降臨の出来事は、まさに分かれていたものの一致でした。

 一致の祈り

 4月13日に、教派を越えて再開した神戸バイブルハウスが10周年を迎えた記念式が行われました。
 各教派の聖職信徒が集いましたが、印象的であったのはミッションスクールの代表が多く集まっていたことです。次の世代へと福音を伝えることを、強く意識した集いでした。
 私たちをとりまく環境は、対立・反感といったものが常にあります。 しかし、それを乗り越える力を与えてくださる事が、イエス様の約束です。

 平和の君、イエス・キリストの父なる神よ、どうかわたしたちに恵みを与え、一致と平和を妨げるものを取り除いてください。体は一つ、み霊も一つ、召された召しを受けて保つ望みも一つ、主は一つ、信仰は一つ、洗礼は一つ、万民の父は一つです。そのように、わたしたちもこころを一つにし、精神を一つにして、真実、平和、信仰、愛によって結び合わされ、同じ思いと言葉をもって主を賛美することができますように、主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン
祈祷書 一致の祈りより


2013 the Cathedral Church of St.Michael diocese of kobe nippon sei ko kai